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コラム

2026年診療報酬改定で精神科訪問看護はどう変わる?

2026年6月1日、診療報酬改定が施行されました。

今回の改定では、物価・賃金の上昇や人手不足への対応に加えて、「質の高い在宅医療・訪問看護の推進」が重要なテーマのひとつとなっています。

なかでも注目したいのが、精神科訪問看護に対する評価。

精神疾患を抱えながら地域で生活する方を支えるためには、訪問看護ステーションだけでなく、医療機関や自治体、福祉サービスなどとの連携が欠かせません。

2026年度の診療報酬改定では、こうした役割を担う訪問看護ステーションを評価する仕組みも新たに設けられました。

この記事では、2026年度診療報酬改定の概要から、訪問看護、特に精神科訪問看護に関係する変更点についてわかりやすく解説します。

診療報酬改定とは?

診療報酬とは、病院やクリニック、訪問看護ステーションなどが、保険診療として提供した医療サービスに対して受け取る報酬のことです。

診療報酬は原則として2年ごとに見直されており、その時々の医療ニーズや社会情勢、医療技術の進歩などを踏まえて、点数や算定要件などが変更されます。

2024年度からは「診療報酬改定DX」の一環として、診療報酬改定の施行時期が従来の4月から6月へ変更されました。

2026年度についても、6月1日から新しい診療報酬が適用されています。

2026年診療報酬改定の主なポイント

2026年度の診療報酬改定では、主に以下のような方向性が示されています。

・物価、賃金の上昇や人手不足等への対応
・地域医療の確保と地域包括ケアシステムの推進
・安心、安全で質の高い医療提供の推進
・医療保険制度の安定性、持続可能性の向上

そのなかでも、訪問看護に関係する重要なポイントが「質の高い在宅医療、訪問看護の推進」です。

高齢化や在宅医療のニーズ拡大を考えると、病院だけでなく、地域や自宅で必要な医療・看護を受けられる体制づくりは、今後さらに重要になっていくと思います。

訪問看護は2026年診療報酬改定でどう変わった?

2026年度の改定では、訪問看護療養費の体系にも複数の変更が行われています。

代表的なものを見ていきます。
包括型訪問看護療養費の新設
高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、同一建物に居住する利用者に訪問看護を行う場合などを対象として、1日単位で評価する「包括型訪問看護療養費」が新設されました。

訪問日数や利用者数などを踏まえ、訪問看護の提供状況に応じて評価する仕組みです。

今回の新設によって、同一建物への訪問を含め、実際のサービス提供状況に応じた適正な評価がより重視されているのだと思います。
訪問看護遠隔診療補助料の新設
ICTを活用した医療提供を推進するため、「訪問看護遠隔診療補助料」が新設されました。

訪問看護師が利用者の自宅などを訪問し、医師が行うオンライン診療を補助するケースなどが想定されています。

医師と訪問看護師が連携することで、利用者が自宅にいながら必要な医療を受けられる環境をさらに広げていく狙いがあるのだと思います。
物価上昇に対応する評価の新設
近年の物価上昇を踏まえ、訪問看護についても物価上昇に対応するための評価が新設されました。

訪問看護では、車両費や燃料費、医療材料など、サービスを提供するためにさまざまなコストが発生します。

こうした状況を考えると、訪問看護ステーションが安定してサービスを提供し続けるためには、物価上昇への対応も欠かせないものだと思います。
訪問看護ベースアップ評価料の見直し
医療従事者の賃上げを目的とした「訪問看護ベースアップ評価料」についても見直しが行われています。

訪問看護の需要が高まる一方、看護師をはじめとする人材の確保は大きな課題です。

利用者に必要なサービスを継続して提供していくためにも、現場で働くスタッフの処遇改善や働き続けられる環境づくりは、非常に大切だと考えます。

今回の改定で精神科訪問看護に求められること

精神疾患を抱える方が地域で安定した生活を続けるためには、医療だけですべてを支えることは難しい場合があります。

精神科訪問看護では、利用者の症状や服薬状況を確認するだけでなく、

・生活リズムの調整
・服薬継続の支援
・症状悪化の早期発見
・家族への支援
・主治医との連携
・福祉サービスとの連携
・就労や社会参加への支援

など、生活全体を見ながら支援することが求められます。

今回の改定で、地域連携に取り組む精神科訪問看護ステーションへの評価が新設されたことからも、「地域のなかで利用者を支える」という役割がさらに大切になっているのだと思います。

医療機関や地域との連携


精神科訪問看護では、主治医との情報共有はもちろん、自治体や相談支援事業所、障害福祉サービスなど、さまざまな関係機関との連携が必要になるケースがあります。

利用者を訪問看護ステーションだけで支えるのではなく、地域全体で支えていく。

今回の改定からも、こうした連携を大切にする方向性がより明確になっているのだと思います。

利用者の自己負担額は変わる?

診療報酬が改定されると、「利用者が支払う訪問看護の料金も高くなるの?」と心配になる方もいると思います。

訪問看護の自己負担額は、利用している保険制度や算定される療養費・加算、公費負担医療制度の利用状況などによって異なります。

精神科訪問看護では「自立支援医療(精神通院医療)」を利用できる場合があり、適用されると対象となる医療費の自己負担は原則1割です。

さらに、所得等に応じて月額の自己負担上限額が設定される場合があります。

そのため、今回の診療報酬改定によって「すべての利用者の自己負担額が一律に○円上がる」というものではありません。

自立支援医療を利用した場合の具体的な自己負担額や申請方法については、別記事「訪問看護(精神)で自立支援医療は使える?費用や申請方法を解説」で詳しく紹介しています。

精神科訪問看護で働く看護師への影響

今回の改定は、精神科訪問看護で働く看護師にとっても大きく関係する内容だと思います。

精神科訪問看護では、利用者と一対一で向き合いながら、症状だけでなく生活環境や家族関係、社会との関わりまで含めた支援を行います。

さらに今後は、医師や医療機関だけでなく、行政や福祉サービスなど、地域のさまざまな職種との連携がこれまで以上に重要になっていくと考えます。

病院とは異なる環境で、一人ひとりの生活に寄り添い、地域での暮らしを支える。

こうした精神科訪問看護ならではの役割が、今回の診療報酬改定でも改めて評価されたのだと思います。

精神科での勤務経験を活かしたい方はもちろん、「病院以外の場所で患者さまと長く関わりたい」「地域医療に携わりたい」という看護師にとっても、精神科訪問看護はひとつの選択肢になると思います。

訪問看護ステーションかえででは、精神科での勤務経験を活かし、地域で暮らす利用者さまを支えてくださる看護師を募集しています。

訪問看護が未経験の方でも、精神科での勤務経験があればご応募いただけます。

精神科訪問看護に興味のある方は、ぜひ採用情報をご覧ください。

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まとめ:2026年改定で精神科訪問看護の地域での役割がより重要に

2026年度の診療報酬改定では、質の高い在宅医療・訪問看護を推進するため、訪問看護療養費についてさまざまな見直しが行われました。

包括型訪問看護療養費や訪問看護遠隔診療補助料などが新設されたほか、精神科訪問看護では、支援ニーズの高い利用者を受け入れ、24時間対応や地域連携を行うステーションを評価する「機能強化型訪問看護管理療養費4」が新設されています。

今回の改定を見ても、これからの精神科訪問看護に求められるのは、利用者の自宅を訪問することだけではないと思います。

医療・福祉・地域が連携しながら、精神疾患を抱える方が住み慣れた地域で安心して生活を続けられる環境をつくること。

そのために、制度の変化を正しく理解しながら、利用者一人ひとりに必要な支援を提供していくことが大切だと考えます。

参考資料

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【訪問看護ステーション向け】」

※本記事は、厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定に関する資料等をもとに作成しています。制度や算定要件等については、最新の厚生労働省資料をご確認ください。